パーキンソン病をもっと詳しく

わずか1gの神経細胞が全身に及ぼす影響の大きさ

 パーキンソン病は能の中心部で中脳というところにある「黒質」の神経細胞が破壊されることで、

 ここで作り出されて筋肉を動かす司令をコントロールする「ドパミン(ドーパミン)」

 という物質が減少し、体を自由に動かすことができなくなってしまう病気です。

 黒質神経細胞は、脳の中心部、脳幹の中脳と呼ばれるところにあるわずか1gしかない黒っぽい細胞で、

 ドパミンはここで作られます。

 健康な人でも、脳の黒質細胞は年齢とともに損傷・減少し、それにともなってドパミンの量も減り、

 ドパミンの分泌量が元の量の20%以下になるとパーキンソン病の症状が現れます。

 黒質細胞は活性酸素によって傷つけられると言われています。

 また細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアが機能しなくなることも

 黒質細胞の損傷に影響していると考えられています。

パーキンソン病の4大症状

  ふるえ(振戦)ふるえはパーキンソン病に気がつくきっかけになることが一番多い初期症状ですが、他の病気の場合もあるので、しっかりと見分ける必要があります。

 パーキンソン病のふるえ
 ・パーキンソン病のふるえは、体を動かすと止まり、安静にしているとふるえるのが特徴です(安静時振戦)
 ・緊張するとふるえがひどくなることもあります
 ・初期のうちは左右のどちらかの手足が時々ふるえ、病気が進むにつれて両側がふるえて、ふるえている時間が長くなります。
 ・指をこすり合わせるような独特のふるえ方をします。

 こわばり(筋固縮)

 筋肉が固くこわばってしまうことで、体全体の動きが悪くなります。力を抜いてリラックスできな、肩や首をうまく動かせない、

 手、肘、指、脚の曲げ伸ばしができない、誰かが関節を曲げようと手伝うと歯車が回 転するような断続的な抵抗感を感じます(歯車現象)。

 動作の緩慢・現象(無動)

 何か動作をしようとしても小さな動きしかできずに体の動きが緩慢に見えてしまいます。

 ・瞬きの回数が減り、無表情になります(仮面様顔貌)
 ・声が低くぼそぼそと話すようになります(単調言語)
 ・文字を書いているうちに字が徐々に小さくなります(小字症)

 起立姿勢反射障害と歩行障害

 パーキンソン病の人は独特の歩き方をします。

 症状が進むと誰かにちょっと押されただけで、手足でバランスをとることができず、倒れてしまいます

 ・前かがみで膝も背中も曲がり、歩き出すと止まったり、向きを変えて歩くことができなくなります
 ・手を降って歩きません
 ・小さな歩幅でよちよち歩きになります(小歩症)
 ・1歩が踏み出せないすくみ足になります

パーキンソン病の進行

 パーキンソン病は運動機能だけでなく、内臓機能や精神状態にも影響を及ぼします。

 これには自律神経の調整機能が低下することも関係しています。

 便秘、頻尿、立ちくらみ、発汗、嚥下障害

 パーキンソン病の症状は、運動機能だけでなく、内臓機能や精神症状もあります。

 パーキンソン病になると、身体中の働きを調整する自律神経がうまく機能しなくなり、

 さまざまな体の不調が起こります。これも脳内の自律神経細胞のほか、

 末梢の自律神経細胞が病気によって破壊されることと関係しているようです。

 多くの患者さんは頻尿、排尿障害、便秘などの症状に悩まされています。

 特に便秘は初期段階から現れて、治療を開始してからも治療薬の副作用で続いてしまう場合もあります。

 排尿障害は、膀胱に尿が溜まった時、自律神経によって反射的に起きる

 膀胱の収縮がタイミングよく起きなくなり、排尿反応が頻繁に起きて頻尿になります。

 立ちくらみも、自律神経にコントロールされるはずの血圧がまく調整できずに、

 急に立ち上がったり起き上がったりするとき生じ、ひどい場合は血圧が下がりすぎてしまい、気を失ったり、倒れたりすることがあります。

 食べ物をかんだり、飲み込んだりすることもうまくできなくなってしまう場合があります。

 もともと物を飲み込む動作はとても複雑でいろいろな神経や筋肉を動かして行われていますが、

 これらの調整がつかなくなることで、食事がうまくできずに悩む患者さんも多いのです。

 不眠、幻視、意欲喪失によるうつにも注意

 パーキンソン病の人は、幻視・幻聴など、見えないもの、存在しない物が見えたり、

 聞こえたりする症状を伴う場合があります。

 身体的な不自由(寝返りが打てない、頻尿など)と精神的な症状の両面で、

 不眠を訴える患者さんも多いそうです。

 また約半数の患者さんがうつ症状を持つと言われます。

 パーキンソン病の患者さんには、もともと几帳面で我慢強く、大人しい人が多いのですが、

 もともとの性格に加えて病気が与える脳の機能への影響も考えられる他、

パーキンソン病のためにうまく体を動かすことができず、生活に支障をきたすために、意欲を失って将来を悲観する傾向があります。

 周囲の人々の温かいサポートで、患者さんの心の苦しみを緩和してあげることも治療の一つだと思います。

 またパーキンソン病の患者さんは認知症を合併する場合もありますから注意しましょう。