世界最新の脳梗塞総説:N Engl J Med(2020; 383: 252-260)

世界最新の脳梗塞総説

 最新論文で考える日常臨床

 N Engl J Med2020; 383: 252-260)に急性虚血性脳卒中(Acute Ischemic Stroke)の総説(Clinical Practice)が掲載。

 N Engl J MedLancetは大きなブレイクスルー(breakthrough)が起こり標準治療となり始めると必ず総説を組んでくれます。

 

  「脳梗塞初療で暗記すべきコア中のコア」は次の6点です。

 

  • ・ 低血糖を確認して「単純脳CT」で脳出血を除外せよ!
  • ・ アルテプラーゼ投与は発症4.5時間以内、NIHSS≧6点
  • ・ 機械的血栓除去の画像診断はCTAかMRAだけで可
  • ・ 機械的血栓除去はICかMCA(M1)血栓で発症≦6時間、NIHSS≧6、ASPECTS≧6のとき
  • ・ 発症6~16時間でNIHSS≧6、発症6~24時間でNIHSS≧10はアルテプラーゼ考慮
  • ・ 既に発症24時間経過の場合はアスピリンか、DAPT 21日間開始
  • 今回のN Engl J Med虚血性脳卒中の総説、 重要点は次の11点です。

    1. 脳卒中はまず血糖測定で低血糖否定。「単純脳CT」で脳出血否定!
    2. アルテプラーゼの3カ月後予後OR:3時間内投与1.75、3~4.5時間投与1.26。脳出血発生6.8%
    3. 発症4.5~9時間経過後のアルテプラーゼ投与は3カ月予後OR 1.61で効果あり
    4. DWIは不可逆的範囲(core)、PWI(T-max>6秒)との差がpenumbra(救済可能域)
    5. IC/MCA(M1)血栓で6時間内、NIHSS≧6、ASPECTS≧6のとき、機械的血栓除去OR 2.49
    6. 単純CTで中大脳動脈の梗塞範囲決定、ASPECTS≧6点で機械的血栓除去適応
    7. 機械的血栓除去の画像はCTAかMRAで十分。腎不全ではTOF-MRA(造影不要)を
    8. 機械的血栓除去はアルテプラーゼを併用せよ。吸引血栓除去も同等の効果(2019判明)
    9. 発症6~24時間でも機械的血栓除去は有効(2018年判明)
    10. 発症24時間経過後アスピリンまたは21日間DAPT使用。アルテプラーゼ投与時は24時間以後に
    11. 24時間心モニター、SpO2≧94%、38℃以上熱源精査・解熱、BG 140~180、BP≦180/105
  • 出典:Medical Tribune

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